MONDO ROCCIA ザ・クロマニヨンズ

第二回ですが

 突然ですが、今日は音楽の話をします。
 私が思う日本最高のロックのアルバムの話! 
 書評とか、調子乗って言ってましたけれども、そんなに早く本読めないのでね、本以外の話もしていきますよ(笑)


MONDO ROCCIA ザ・クロマニヨンズ


  1. ジャングル・ジャミン (MONO)
  2. グリセリン・クイーン (MONO)
  3. 鉄カブト (MONO)
  4. フンカー (MONO)
  5. 炭酸 (MONO)
  6. ジョニークール (MONO)
  7. ムーンベイビー (MONO)
  8. アウト (MONO)
  9. 酒じじい (MONO)
  10. 突然バーン (MONO)
  11. 恋に落ちたら (MONO)
  12. エロこそすべて (MONO)


 2009年に出たこのアルバム。当時私は学生だったのですが、後にも先にも、一つのアルバムとして、こんな最高なアルバムはありません!
 1曲目から、ドンドコドンドン、ドンドンドンドンドン(「ジャングルジャミン」のイントロ)という野蛮な音から始まって、一瞬で12曲が終わります。もう全部の曲が好きです。スキップする曲がありません。12曲で1つの作品なんですよね。









 当時はMDの時代が終わって、デジタルオーディオ全盛の時代でね。誰もがiPodかウォークマンを持っていた時代でした……
 私も例にもれず、お年玉でウォークマンを購入しましてね。授業中に制服の下にイヤホンの線を通して、片耳で音楽を聴いて、っていうことをしながら、鬱屈した青春を謳歌していました。(´;ω;`) T先生の英語は全くわからんかったなぁ~
 デジタルなので、自分でお気に入りの曲をプレイリストにして、シャッフルで聞くということをやっていました。これは今も同じですね。私は最近は専らスマホになっちゃいましたが、プレイリストを作って、車運転するときはこのプレイリスト……みたいに使ってませんか? 私はそのタイプです。

 しかし、この、MONDO ROCCIAは絶対アルバムまとめてなんですよね。今でも聴きますが、絶対これはアルバム通して聴きます。
 なんせこのアルバムは、入ってる曲ももちろんだし、この曲順で並んでるからこそ、その良さが何倍にもブーストされるんですよ。ホントに、みんなに聴いてほしいといつも思いますよ。





ライブも見に行ったな~ Tシャツも買ったな~




●私が思うザ・クロマニヨンズ論

 ザ・クロマニヨンズといえば、元ザ・ブルーハーツの甲本ヒロトさんと真島昌利(マーシー)さんを中心に結成されたロックバンド。もちろんクロマニヨンズが好きな人は、ブルーハーツとか、ヒロト・マーシーの前バンドのザ・ハイロウズから入った人がほとんどだと思います。ブルーハーツもハイロウズも売れてますからね。CMでも何度も使われてますよね。


 私もブルーハーツの流れでクロマニヨンズを聞き出したクチで…。ブルーハーツもハイロウズもとっくに解散してから、後追いでブルーハーツを聴きはじめて、「ブルーハーツスゲー」ってなって、「ブルーハーツとハイロウズのアルバム全部聴いたから、今度は今やってるバンドだ」ってことで、クロマニヨンズのそれまで出てたアルバム3つをTSUTAYAで借りて、「おっ、さすがヒロト、全然衰えてねー」となって……、そこで私が初めてリアルタイムで聴いたクロマニヨンズのアルバムが、この「MONDO ROCCIA」でした。(どーでもいいかもしれませんがご容赦ください)

 ……ということで、私にとって初めて買ったロックのアルバムであり、初めて買った「ヒロトとマーシーが今現在出すアルバム」なんですが、まず、言いたいのは、クロマニヨンズはブルーハーツともハイロウズとも全然違うバンドなんだってこと。そして、何より私が強く感じたのは、クロマニヨンズこそ、「今の」バンドなんだ! ということです。ブルーハーツもハイロウズも好きでしたが、当時の私にとってクロマニヨンズこそ一番リアルでした。


 THE BLUE HEARTS                  THE HIGH-LOWS


その魅力とは?

 クロマニヨンズの曲の特徴といえば、歌詞の意味性の排除です。
 MONDO ROCCIAの楽曲の歌詞にはほとんどメッセージのようなものがありません。「炭酸みたいなやつ!」とか「ゴージョニーゴー」とか「あのねあの」とか、歌詞を切り取ってみても、意味というものが極力取り除かれています。意図的なのかそうでないのかはわかりませんが……
 一般的に歌い手が作る曲というのは何らかの言いたいことがあって作られるものであると思います。しかし、クロマニヨンズは言葉で訴えかけることを拒絶するようにやめている。いわゆる「いい歌」をクロマニヨンズは否定しているような気がします。


 これってブルーハーツとはまるで違うアプローチですよね。
 ブルーハーツは歌詞の力というものがすごくある。ブルーハーツ時代は、ヒロトとマーシーどちらもですけど、言葉の力というのをフルに使って、自分の情熱や怒りや言いたいことをバーンと、正面切って丸裸で出してしまう。その裸の言葉に私を含む多くの人が感動してしまったわけですよね。だからこそ、ブルーハーツの曲には「いい歌」がたくさんあった。

 しかし、クロマニヨンズは、それとは全然違って、伝えたいことがない、言葉がないんです。これってすごく物足りないですよね。
 私もクロマニヨンズの最初の3枚のアルバムを聴いたときは、ちょっと物足りない感じはありました。ヒロトの声もいいし、相変わらずシンプルなリズムもいいし……でも、歌詞がなんだか意味わからんぞ!?という感じで、「ん?」と思ったんです。


伝えたいのは言葉じゃない。言葉じゃ伝わらない。

 2009年って、スゲー辛気臭い時代だったと思うんですよ。あくまで、私の学生時代の感覚ですよ。世間がいい話。感動の○○、涙の○○、を求めてた。テレビも。クイズなんちゃらって番組では、なんちゃらファミリーとか作って…… 仲間とか、家族とか、そういう「感動っぽい」ものを求めてた時代だったと思うんです。
 だからある意味「いい歌」っぽいものが求められてた時代だと思うんですよね。
 だって、流行ってたのが、EXILE・GReeeeN・Mr.Children・絢香ですよ。今となってはみんないい歌だなあと思って聞けますけども、当時の私は全身の骨が反り返った反骨精神の塊です。素直に聞けませんよあんなきれいな歌。いい歌に歌われていることとか俺の周りにはねーよ!糞が! という感じです。
 世間で褒められてる歌がなんか全部「はい感動してください」って出された歌みたいで、スゲー嫌だったんですよね。

 そこで、クロマニヨンズです。
 クロマニヨンズの歌に「いい歌」っぽいものなんて1つもありません(ズバっ)
 だって言葉の意味をもうカットしてしまってるんですもん。クロマニヨンズは言葉を尽くさないんですもん。でも、かっこいい。MONDO ROCCIAではそれを一番に感じました。しょーもない内容でも、意味わからん曲でも、問答無用でかっこいいんです。それでいいんです。
 そこには、こうしたら感動させれるんじゃないかとか、ちょっとでもよく見せようといった気持ちとか、飾る部分が何もない。何も隠さない。誰にもこびない。(そういうところはブルーハーツとも通ずるところですが)いい話なんかしなくたって、感動のエピソードなんかなくたって、激動の過程を経なくたって、いいもんはいいし、お前もそれでいいんだぜと言われているような気がしました。私は普通の家庭で普通に育って普通に反骨精神をもった子供でしたから、言葉を尽くして大層な人に自分を見せようとする人ばかりの時代に、何も飾らない、言葉を尽くさないクロマニヨンズはめちゃめちゃリアルで、ブルーハーツよりも感動しました。俺の時代にもロックはあったぞ!!とね。


クロマニヨンズの新曲です。


パンクって何? ロックって何?

  そもそもブルーハーツも実は意味性の否定なんじゃないかと思うんです。
 日本のパンクシーンは、ブルーハーツ以前はアナーキーやらザ・スターリンやら、なんか、変なとがり方をしたバンドが多かったんですよね。社会派かぶれして、社会的にとがったことを言う、みたいなね。そういうのもいいんですけども……
 でもそれって本来のパンクとは違うような気がしたんですよね。イギリスの70年代後半のセックスピストルズとかクラッシュがかっこいいのって、別に社会的なこと言ってるからじゃないじゃないですか。
 あんな単純で、何も考えてなさそうでいて、変で、真面目で、純粋そうで、病んでそうでもあるような、ただの甘ったれた若者が、全然知らないのにアナーキーとかサンディニスタとか言っちゃったりするのが、いいんじゃないですか。あれ聴いて、なんかニュースとか見てぶつぶつ偉そうに言ってる大人たちはくだらねえよな~って僕は思ったんですよね。偉そうに政治に物言うおっさんは、偉そうにしたいだけでほんとに政治に興味なんてないんですよね。だからジョニー・ロットンは自分みたいなやつがこんなこと言ったらおもろいだろうと思ってとがったことを歌ったと思うんですよね。(ジョー・ストラマーは違う気もするが)社会的なことをくだらねえ奴が歌うことによって、イギリスの社会的なおっさんを笑ってたんだと思うんですよね。だからこそ、若者はそれに興奮した。俺たち、正直にこのまま生きていけばいいじゃん!とね。それが私のパンクです。








 ところが、ブルーハーツ以前の日本のパンクロックは無政府主義とか社会主義とか民主主義とかジョニー・ロットンが一番笑ってたくだらねえお高く留まった言葉をパンクだと勘違いしてたところがあって、ブルーハーツは「チェルノブイリにはいきたくねえ あの娘とキスがしたいだけ」「どこかの爆弾より目の前のあなたのほうが震えるほど大事件」と言ってて、むしろ言葉で正面から社会的なことに興味はないよ、俺たちは俺たちの目の前の切実なことを歌うから、という感じなんですよね。
 だから、ブルーハーツはたぶん当時の日本の中でも、パンクの中でももっとも正確にパンクだったと思うんですよね。政治的な主張はせず、ありのままの自分の怒りや情熱など、心を歌う。当時の日本でパンクをするならあのやり方が一番パンクだったんだろうと思います。
 ブルーハーツはブルーハーツで、当時の社会の中で偉そうな芝居をして、偉そうなことばかり考えて話す大人を笑ってたんだと思います。そういうのがパンクロックなんじゃないかなぁ?

 そして、クロマニヨンズは、私たちの時代のクロマニヨンズは、私たちの時代の中でやはり一番パンクなあり方で存在してくれています。
 今度は言葉ばかりで取り繕うおっさんたちを笑ってるんですよ。かっこよけりゃいいんですよ。ざまあみろなんですよ!
 思うにパンクとは、そうやってほんとに大事なものを見ない大人を笑っちゃうガキの心みたいなもんですよね。そして、ロックとはもう無条件にかっこよけりゃいいじゃんという価値観なんですよね。価値観っていうとなんか固いですが…… 正直に、ロックが好きで、我武者羅にやってるやつはかっこいいんですよね。だからこそ、ロックは人に勇気みたいなものを人に与える。やってやるという覚悟みたいなものをね。





とにかくMONDO ROCCIAはいいアルバムです。ぜひ聴いてみてください。






うざかっこいいパンクバンド・The Membersで終わります。








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