沖縄でロックすること かりゆし58

今日は音楽の話です。

 僕がかりゆし58と出会ったのは、数年前友達2人と沖縄へ旅行に行った時のレンタカーの中でした。友達の携帯電話から、レンタカーのステレオへBluetoothで送られたのは「アンマー」という曲で、あとで調べてみると、かりゆし58の中でも代表曲といわれている感じの楽曲でした。(この曲の由来がテレビでも取り上げられたらしい)

 僕の友達としては、沖縄のバンドといえば、ということでかけてくれたと思うんですが、これに痛く感動しましてね……。(そのせいで車の中で無言になってしまいました)





 内地(沖縄から帰ってきたら沖縄以外の日本をこう呼んでいた 笑)に帰ってくると、すぐにアルバムを入手。そこで手に入れたのがこのアルバム「でーじ、かりゆし」! 
 2ndアルバムですね。


かりゆし58 2ndアルバム「でーじ、かりゆし」

1.希望の唄
2.ナナ
3.レイニー・レイニー
4.エーデルワイス
5.夜行列車
6.世界はきっと
7.さよなら
8.情熱の薔薇
9.君のそばに
10.ノーグッバイ自分
11.ウクイウタ
12.大光~オーライ~
13.ただひとつだけ伝えたいこと
14.アンマー(ライブver.)








自分の中の「アンマー」
 
 ザ・ブルーハーツの「情熱の薔薇」のカバーが入っており、おそらく僕と同じくブルーハーツフォロアーっぽいのも親近感が湧きますが、ボーナストラックのライブヴァージョンの「アンマー」も含め、アルバム収録曲全てが名曲であり、全てが全員沖縄出身の彼らにしか作れない歌ばかりです。
 特に「ナナ」と「アンマー」は僕にとって特別な一曲になったなと思います。




 アンマーという曲。「アンマー」は沖縄の言葉で「お母さん」という意味だそうですが、まさにアンマー、「母」をのことを歌った曲です。
 多分ボーカル・ベースの前川真悟さんって、僕なんかよりもずっとやんちゃな青春時代を送ってたと思うんですが、彼が大人になったときに感じた、「母のありがたみ」みたいなもの。そして、「俺はなんてひどいことを……」「謝るには遅すぎるけど謝りたい」「謝りたいと感じてる……(愚地克巳風)」「感謝するには遅すぎるけど感謝したい」という気持ちが痛いほど伝わってきます






 一人になってはじめて気づくんですよね。母のありがたみや苦労。見返りを求めない無償の愛みたいなものを。いや、もちろんいろいろな理由で母親がいない人もいるので、一概には言えないし、母以外にも無償の愛を注いでくれた人がいる方はたくさんいると思いますが。……狭い見分ですみません。

 子供のときは当たり前だと思っていたけど、見返りを求めずに自分のために動いたり、叱ったりしてくれる人って、この世界、あまりにも少ないんですよね。それがたくさんいるって断言できる人は本当に幸せな人だと思う……
 僕の実感としては、自分に何かしてくれる人っていうのは、やっぱり何かを求めてくるときが多くて……。それは、仕事だったり、物だったり、好意だったり、行動だったりするんですけど、人ってやっぱり何か見返りを期待している。僕も他人に対してそう。
 僕たちは、さも当たり前のように思ってたんだけど、……母ってただ子供を育てるんですよね。慈しんで。(ここは僕の話なので「母」と断言してますが、これが「母」じゃない人もいると思う)
 立派な大人に育てたいという気持ちなのか、本能なのか、信念なのかわからないですけど、そういう母、親、育ててくれた人、親と呼べる存在への気持ちが正直に詰まったスゴイ歌だと思います。(若いうちに聴けて良かった‼(⌒∇⌒))

 ちなみにスタジオ版の「アンマー」は1stアルバムに入ってます!








「ナナ」は恋人を歌った曲では特別好き!

 恋愛ソングが若いときは嫌いでね(笑) 素直に聞けなかったりするじゃないですか? 女にモテそうな曲つくってんじゃねー! 的な……。そういうのが、とにかく尖ってた僕にはあったんですよね(モテなかったから ( ´∀` )ズバッ)

 でもね、この「ナナ」は、スッと入ってきましたよ。卑屈にならずに。

 僕も、こんなんだけど、本当に好きな人を大事にして生きて、死にたいなって思いましたよ。いや、もうちょっと恥ずかしいのでこの辺にしときますが。

 かりゆし58の中では特におすすめの曲です。カラオケで高確率で歌います。











かりゆし58
 2005年に結成された沖縄南部東風平町出身のロック・バンド。バンド名のかりゆしとは沖縄の方言で“縁起がいい・めでたい”という意味。沖縄のFM局でデモ音源が頻繁に流されて話題となり、2006年にアルバム『恋人よ』でデビュー。同年リリースされた「アンマー」でインディとしては異例の日本有線大賞新人賞を受賞。2008年にトリオ編成から4人に。琉球音階と大和音階を融合させたユニークな音楽性で人気を呼ぶ。2014年7月に15thシングル「Oh!Today」をリリース。
2012/07/30 (2014/08/01更新) (CDジャーナル)







沖縄でロックすること

 かりゆし58は沖縄から出てきて、名を挙げたバンドです。
 地方出身のバンド、夢を追って、成功を求めて都会に出てきた人が背負う矛盾。これは、アーティストじゃなくても生じえる矛盾だと思うんです。

 夢(やりたいことをやる) VS 家族(自分を育てた人やお世話になった人、場所)

ていう。この2項対立。
 日本においてはかなり大きな矛盾だと思うんですが、地方出身アーティストというのは、一度家族や自分の大切な人を捨てて、上京しているんですよね。
 それはとても大きな覚悟だと思ってて、自分が大好きな人に褒められるためではなく、自分のためにリスクを負って、自己実現を選ぶんですよね。それはとても暴力的で、一面から見れば、めちゃくちゃ薄情に見える構図です。
 日本において家族のために自己実現の夢をあきらめる人って、たくさんいると思うんです。それは、めちゃくちゃ正しくて、尊い選択じゃないですか? でも、夢を選んだ人も、痛いほどそれは分かっていると思うんですよね。俺は家族を捨てちゃったな~っていうか……ちょっとした後ろめたさみたいな。

 かりゆし58はそういう矛盾との闘いと、それでもカッコいい曲を作っているっていうことが僕はたまらないんです。しかも、彼らの歌う歌って、めちゃくちゃ沖縄の色が出ているんです。そして「アンマー」にしろ「ナナ」にしろ、やっぱり地元の家族や恋人の歌のように聴こえるんです。
 そして、かりゆし58は今も沖縄をすごく大事にしていて、沖縄を拠点に活動していて、彼らの活動を見ると、ある種の貴種流離譚のように感じるし、都会でないところの出身者としてすごく勇気と優しさをもらえるような気がします。


 






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