君はHump Backを知っているか?

今日は音楽の話です。



チャットモンチー以来! ホンモノのガールズバンドが現れました!



 

1.ガールズバンドと言えば…


 さて、女性ボーカルと言えば、ネクライトーキーのもっささんはこのブログでも紹介したことがありますが、最近ではインナージャーニーのカモシタサラさんが出てきたり、カネコアヤノさんなんかも素晴らしいし、メジャーなところではあいみょんさんとか、優れた歌い手がたくさん登場してきましたよね。それもアイドル的な、女性という部分を売りにした形ではなく、また作られたイメージや商業的な宣伝でもなく、その人そのものの魅力や上手さ、センスが評価されて、世に出てくるという流れが日本でももはや完成したんじゃないかと思う今日この頃です。(やっぱりYouTubeの普及はデカいです。みんなが自分の好きなものをどんどん調べられる)


 でも、バンドメンバーが全員女性のガールズバンドっていうと、これもたくさんあるんですけど、やっぱりチャットモンチーっていう完成形が出てしまっているから、あの温度感と、圧倒的な音楽センスを持ち合わせている、もしくは超えるほどの日本のガールズバンドってあるかな~? って考えると、やっぱりなかなか思い浮かばないんですよね。

 いや、いいバンドいっぱいあるんでしょうけど、やっぱチャットモンチーは凄すぎたっ!っていうのが勝っちゃってね。おじさん的ノスタルジーもあるんでしょうけど……。






 しかし、今回紹介するHump Back! このクオリティと温度! 

 明らかに これから追いかけるべきホンモノのガールズバンド です!

 悪いこたぁ言わん。聞いとけ! 以上!

 で終わらせたいくらい、掛け値なしにお勧めできるいいバンドです!




Hump Back(ハンプバック)

大阪府出身のロック・バンド。メンバーは林萌々子(vo,g)、ぴか(b,cho)、美咲(ds,cho)の3名。2009年に高校の軽音楽部にて結成。〈閃光ライオット〉や〈MINAMIWHEEL〉などへの出場、幾度かのメンバーチェンジを経て、2016年に現体制へ移行。同年に全国流通ミニ・アルバム『夜になったら』を発表。2018年はチャットモンチーのトリビュート・アルバム参加を経て、「拝啓、少年よ」「涙のゆくえ」とシングル2枚をリリース。

2018/03/13 (2019/03/12更新) (CDジャーナル)





2.どんなバンドなの?

 ボーカルの林萌々子さんはチャットモンチーの影響を強く受けているようで、Hump Backももともとはチャットモンチーのコピーバンドだったそうです。

 後追いで聴いた私ですら、好きなバンドベスト3に入るくらいですからね。当時音楽を志していた女性にはチャットモンチーの衝撃はやはり相当に大きかったのでしょう。チャットモンチー完結のフェス「こなそんフェス」へ出演しているくらいですからね……正統継承者……?

 


 いや、チャットモンチー云々抜きにして、Hump Backは、超ストレートなロックンロールバンドとして、評価されるべきバンドです。チャットモンチーもそうですけど、いいバンドっていうのは、性別やルーツを抜きにして「いい」のだと思います。

 今のHump Backって、もうとっくにチャットモンチーフォロワーっていう感じはなくなってて、Hump Backという1つのバンドの色が既に完成されているんですよね。

 


2ndアルバム「ACHATTER」
1.宣誓
2.番狂わせ
3.プレイリスト
4.スリーピース
5.新しい朝
6.あいまい
7.ヘイべビ
8.ひまつぶし
9.きみは春
10.閃光
11.HIRO
12.遊覧船
13.マイユー
14.きれいなもの


  私は「パンク色強めの曲調」と「やや関西弁よりの言い回し」の融合が彼女たちの凄みに繋がってるんだと思うんですが、Hump Backの曲って、なんか今関西で生きている彼女たちにしか作れない唯一無二のものなんですよね。つまり、おしゃれ感とか、チルい感じとか、最近の流行りに乗っかってる感じが全くない(笑) 自分たちの好きな音で自分たちの語りたいことを歌っている感じが、半端じゃないリアルさを生んでいます。

 なんかもう、今の自分の生活と地続きな感じが、聴いてて痛いくらいなんですよね。多分関西に生きている若者には刺さりまくってると思います。何だろう? むき出しなんですよね。ヒリヒリと。これはロックバンドには必要なことですよ!




3.僕らは今日も車の中

1stアルバム「人間なのさ」
1.LILLY
2.拝啓、少年よ
3.サンデーモーニング
4.コジレタ
5.生きて行く
6.オレンジ
7.Adm
8.クジラ
9.恋をしよう
10.ナイトシアター
11.僕らは今日も車の中


 私が一番初めに喰らったHump Backの楽曲は、やはりファーストアルバム(メジャー)の最後の楽曲「僕らは今日も車の中」です!

 ビートルズなら「プリーズプリーズミー」、クラッシュなら「白い暴動」、ブルーハーツなら「THE BLUE HEARTS」。1stアルバムって、そのバンドの〝心〟の全てが入っているじゃないですか?

 Hump Backも例にもれず、「人間なのさ」っていう1stアルバムは、まさに彼女たちの全てが入っているようなアルバムで、これは1曲ずつウォークマンでシャッフルっていう感じじゃなくて、アルバムを1曲目から順番に聴いていきたい、そういう宝石のようなアルバムなんですよね。

 「人間なのさ」の最後に収められたトラック、まさに自分たちのバンド生活をそのまま歌にしたようなこの曲が、全くバンドなんてしていない私にもめちゃくちゃリアルに感じられたんですよね。


愛だの恋だのわからない ないものねだりは可愛くない

いつでも一歩先にいるあいつの 一歩後ろを歩いている

シスターマザーブラザーファザー 僕らの旅はまだ続きそうです

お変わりないですか? そうですか。お体にはどうかお気をつけて


 そんな夢を追って仲間と故郷を離れた人、それでも家族を気にかけている普通の人間の姿から歌い出す、この曲のサビはこうです。


グッバイ ユーライ 僕らの夢や足は止まらないのだ

グンナイ オーライ 僕らの幸せは僕らだけのものだ


 〝夢〟ってよく歌われるテーマですけど、〝夢〟を追うことは、ときに感謝を知らない恩知らずなことであり、家族を捨てるような冷たいことであり、自分だけのための自分勝手な行動でもあるんですよ。だからこそ心底〝夢〟に生きる人は少ない。人が〝夢〟を諦める理由って、才能や運のなさではなくて、単に「情」だと私は思うんですよね。そして、決してそれは悪いことではない。親や家族といった身近な大切な人、世話になった人を安心させるために〝夢〟を諦めることって(めちゃめちゃ日本人的ですけど)見方によれば善行です。それを否定することなんてできないんですよね。

 しかし、それでも〝僕らの夢や足は止まらないのだ〟なんですよね。〝夢〟の暴力性は承知だけど、それでいてやっぱり〝夢〟を追うことは尊いし、人間はそうあるべきだって、それでも〝夢〟に生きろ、ってHump Backは言うんですよね。今まさに夢を掴もうとしている、歳もあまり違わない人たちがそう言ってるんだって思うと、これはすごい勇気じゃないですか!?

 つまり、自分の人生は自分のものだ。そして〝僕らの幸せは僕らだけのものだ〟ってことなんです。夢を追うことは大切なものを捨てる「寂しさ」をはらんでいます。けれど、自分の人生を自分のものにして自分がやりたいことをやることは良いことなんです。いや、それは自然なことで、止められないことであり、どうしてもそうしたほうがいいんだとHump Backは強く叫んでくれるんです。


 頑張ろう! うん。






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